一人でも多くのリーダー・プレイングマネージャーに「聴く力」と「在り方」を届けたい

ご来光

 

今年7月に日本リーダーコーチ協会に加わった松田和正と申します。

今回は、私から日本企業の最前線で活躍するリーダー・プレイングマネージャーの皆様へのメッセージをお届けします。

 

日本には数多くの企業があります。

どんな企業にも、現場第一線に自ら立ちながら、部下やこれからを担う後世を育成・指導するリーダー・プレイングマネージャーが存在します。

令和の今、リーダー・プレイングマネージャーにかかる期待と負担は増え続ける一方です。

 

  • 加速度的に進歩する技術・テクノロジーに合わせ、時間・空間を超えていつでも、どこでもスピードを求められる仕事のやり方の変化
  • 技術の進展に伴い増え続ける膨大な情報量と仕事の幅
  • コロナ禍により急激に進んだリモートワークやフレックスタイムなど、多様な働き方が認められる一方で、複雑になる部下の服務管理や安全管理義務
  • 様々な新たな法規制や社会要請の変化に伴うコンプライアンス・ルールの遵守
  • ベースロードとなる売上・成果も維持しつつ、イノベーションや新たなチャレンジへの期待
  • 自らも量・幅ともに飽和気味の業務をこなしつつの、多様な雇用形態・価値観を持つメンバーのマネジメント、フォロー・育成やキャリア形成支援
  • 「必達すべき責務と更なるストレッチ」「緊急度か重要度か」「短期か中長期か」「維持・防衛か攻め・開拓か」「多数派と少数派」「大きな売上か小さな前例のない実績か」「自分達の信念か組織の方針か」「目の前の実績か将来のための種まき・育成か」など、日々目の前に現れる二律背反への判断・意思決定

 

悩みや課題は上げればキリがありません。

 

今、多くの企業のリーダー・マネージャーのお話を伺う機会に触れて、強く感じること。

それは、コミュニケーションやチームビルディング、人間関係の構築に悩み、苦心されていることです。

 

コロナ禍により、対話の機会が減る中で、上下・横・社外のあらゆる関係者からのニーズ・悩みを一手に引き受け、一人で抱えて必死で耐えているリーダー・プレイングマネージャーが思っていた以上に多いことに驚かされます。

 

私自身、東日本電信電話という会社で7年間、管理職を経験する中で、まさにこれらの悩みを一人で背負い込んでいました。

 

「リーダー・マネージャーとして、期待に応えなければ」

「メンバーの力となり、チームとしての成果を上げるためには、自分自身が全て把握して、求められたものを与えられるようにならなければ」

 

そんな独りよがりの思い込みで、勝手に押しつぶされそうになっていました。

 

しかし、「コーチング」「聴く力」を改めて学び直してから、多くの気付き・ブレイクスルーを体験しました。

 

  • すべて完璧にやらなければならないと思い込んでいた自分
  • 他者・外部からのインプットばかりの日々の中、本当は自分の話も聴いてほしいと思っている自分
  • 自分から与えることが全てではなく、相手が持つ力・可能性を信じて引き出すという役割

 

これはほんの一例ですが、どれも、コーチングを受ける前の自分には、まったく見えていなかった世界です。

 

前述のとおり、リーダー・プレイングマネージャーには期待や求められることといったインプットや制約・制限が膨大な状態です。

 

最近私がお話をお聴きしたリーダー・プレイングマネージャーの生の声を少しご紹介します。

 

部下や仕事仲間との距離を縮め、信頼関係を築きたいと思いつつも、

 

「こんな言動をしたらハラスメントになるのでは?否定されるのでは?」

「相手も嫌な思いしたくないだろうから、ある程度の距離は必要と考えている」

「話を聞いてしまったら、それに返してあげなければならなくなる。ただでさえ忙しいのにこれ以上仕事を増やしたくない」

 

そんな思いから、なかなか周囲との対話・コミュニケーションの機会を増やせずにいたというリーダー。

 

会社としての通達やご自身の考え・思いを伝えることばかりになっていませんか?

部下の声を“聴く”ことに徹する時間を作れていますか?

と質問をすると、

 

「言われて考えてみたら、職場では、仕事内容・やり方・進捗の話しかしておらず、部下の気持ち・感情や“どうしたいか?”なんて最近聞いたことが無かった」

「人間関係が悪いというよりも、人間関係が“無い”という状態だった」

 

ということに気付いたと仰っていました。

 

確かに、部下や仕事仲間との関係が悪くなることは誰も望んでいないと思います。

しかし、だからと言って、コミュニケーションが減ってしまうことは、プラスに働くでしょうか?

 

「ハラスメント」が起こる場面というのは、強い立場の人から弱い立場の人に対して一方通行のコミュニケーションになっています。

対等の立ち位置で、お互いに相手の声にもしっかりと最後まで耳を傾ける関係性であれば、「ハラスメント」が発生することもなくなっていくと期待しています。

 

あなたご自身も誰かに思いを聴いてほしいと思うように、あなたの部下・仕事仲間も、「話を聴いてほしい」と思っているかもしれません。

でも、自分からはなかなか言い出せなくて黙っている可能性もありますね。

 

そして、相手の話を聴く上で、とても大切なことは、ご自身の「在り方」「マインドセット」です。

 

自分が話を聴いてもらう立場だったとして、

 

  • 他のこと(上司・経営層や別の仕事のこと等)を考えて、ちゃんと聴いてくれていないな
  • 一般論や周りの人の受け売りの言葉しか返してくれず、この人自身の考えがわからないな
  • ちゃんと受け止めてくれるのかな、大丈夫かな

 

等と感じると、相談したい気持ちが弱まりますね。

 

だからこそ、「本心から相手を信じて耳を傾けるというマインド」「自分自身の考え・信念・軸」を持てているかがとても大切だと思っています。

 

リーダー・プレイングマネージャーが「聴く力」と「在り方・マインドセット」を手に入れた職場には、必ずプラスの変化が起こっていくと確信しています。

だからこそ、一人でも多くのリーダー・プレイングマネージャーにこの思いを届けたいのです。

 

ただし、「聴く力」「在り方・マインドセット」は、人から“知識”と“やり方”のインプットを受けるだけでは、なかなか自分のものになりません。

これには、訓練が必要です。

逆に言えば、一部の人にしか与えられない天賦の才ではなく、誰でも練習すれば、自分自身のものにしていくことができるものです。

 

このメッセージが、一人でも多くのリーダー・プレイングマネージャーの心に響くことを切に祈り、私自身もこの気持ちを見失わずに、これからも活動を続けてまいります。