朝ドラ「おかえりモネ」から学ぶリーダーの接し方
みなさんは、NHKの朝ドラは視ていらっしゃいますか?
このニューズレターの読者の皆さんは、
「朝の忙しい時にそんなドラマなんて見る余裕ないよ!」という方が多いかもしれませんね(笑)。
視ていらっしゃらない方のためにちょっとご説明します。
現在、放映中の朝ドラのタイトルは『おかえりモネ』。
東北で震災を経験した主人公のモネが、未来を予測できる気象の世界に魅かれて気象予報士になって活躍していくというドラマです。主人公の成長を日常から淡々と描くこのドラマは、波乱万丈な主人公を描くことの多いNHKの朝ドラの中では結構異色かもしれません。
7月29日に放映された回で、西島秀俊さんが演じる朝岡というモネの上司のモネに対する接し方、リーダーとしてのコミュニケーションの取り方が、「なるほど~!」と唸ってしまうほどの秀逸さでしたのでご紹介したいと思います。
「なかなか部下やメンバーが思ったように動いてくれない!」と悩ましく思っている方は是非読んでください!
ポイントは3つです。
① 事実から伝える
② 相手への理解と承認
③ 事実+相手理解・承認からの提案
主人公モネは、気象予報士としてあるテレビ番組のお天気コーナーを担当しています。彼女は東北出身で、東日本大震災時に、「自分は何もできなかった」という傷を抱えており、気象を伝える時に、いつも「楽しさ」より自然や水の「怖さ」を伝えて、注意喚起することに偏ってしまいがちです。
上司である朝岡は、なんとか、その偏りを是正して、番組で気象の「楽しさ」を伝えることをやってほしいと思っています。
その時の、彼のモネに対するアプローチが秀逸なのです。
1. 事実から伝える。
朝岡は1通のメール渡してモネに読ませます。そこにはメールの送り手である視聴者が、いつもモネが担当するお天気コーナーを楽しみにしていること、ただ、水の怖さだけでなくて、何か楽しい話題も提供してほしいということが書かれています。
朝岡がすごいなと思うのは、最初から、「夏休みに、いつも水の怖さばかり伝えるのではなく、楽しい話題も提供すべきだ!」という自分の意見をモネに伝え、指示を出すのではなく、まず自分たちにとって一番フォーカスすべき相手(この場面では視聴者)がどう感じているのか?という「事実」を提示することから始めたことです。
2. 相手への理解と承認
メールを読んで、少なからず自分の問題にハッとするモネ。
そんなちょっとした心の変化がおきているモネに、このタイミングで朝岡がかけることばがすごいんです。
「僕があなた(モネ)に気象にかかわってほしいと思ったのは、あなたが、山も海も大好きで、そのうえでその怖さも知っている人だからです。」
メールを読ませて、すぐに「視聴者からもこういう意見が出ているのだから、方針を変換して楽しさを伝えましょう!」と指示を出すのではないところがすごい!
まず、ここで、モネに対する理解と承認を示すんですね。ここでモネは心がグッと動いたはずです。
3. 事実+相手理解・承認からの提案
そんな気持ちの変化が起こったところで、朝岡は続けます。
「山も海も好きで、その怖さを知っているあなただからこそ、伝えられることがあるはずです。」
最後まで「具体的にこういうことを伝えてください。」と、朝岡は指示を出していません。でももう、モネは朝岡の意図をくみ取り、自分の頭で考えて、その意図を汲んだ行動をし始めるはずです。上司から言われたからしかたなく・・・ではなく、自分で決めて行動ができるはず。
だからこそ、モネはこの経験から自分の思考の枠を一つ越えていくことができて成長できたと思うのです。
いやー、朝岡という上司、素晴らしくないですか?
今回の朝ドラ。主人公の波乱万丈な人生を描いているわけではなく、東北で被災した経験をもつ一人の若い女性の日常が淡々と描かれているのですけど、そこに出てくる人物のセリフ、上司・朝岡のリーダーシップのあり方等、15分の間に学びと気づきが多いドラマです。
いかがでしたでしょうか?
朝ドラでキャッチした、私が届けたいリーダーのコミュニケーションアプローチ、
① 事実から伝える
② 相手への理解と承認
③ 事実+相手理解・承認からの提案
実は、この①②③は、あのコンサルティング会社マッキンゼーが使っている3段論法「空(事実)・雨(解釈)・傘(行動)」に近いと感じました。
誰かに納得して動いてもらいたい時、まず事実(空をみた)を示し、そこに解釈(雨が降りそうだ)を伝え、そして行動(傘をもっていったほうがいいよ)を提案する。 まさに「提案して人に動いてもらう」プロ、コンサルがやっている思考法とコミュニケーションを朝岡は、本当にサラリと自然にやってるな~。と感心してしまいました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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